古画の模写研究について

 敦煌莫高窟の壁画
    ● 敦煌莫高窟の壁画    
昔から日本画の勉強の一環として古典の名画の模写が行われてきました。
見るだけでなく手を通じて、技術面のみならず精神性や芸術性までをも感受し
深い学びを得ることが出来ます。

模写研究においては、現代において入手可能な範囲内ではありますが(注1)
その作品が制作された当時と同様の材質の絵の具を使用し、
原寸大でオリジナルと同様の画法で制作するのが基本です。

模写対象となる作品が麻布や絹本に描かれていても、基底物として
薄手の和紙を使用することが多いです。
画像だけでなく布目や、絵の具や画面の欠損部までをも観察表現していきます<現状模写>

大変に観察力と時間、手間を要しますが、
絵画の構造(基底物・絵の具層の構造など)と
画法および、古色(注2)について学ぶことが出来、
かつ描かれた往時の新鮮な状態まで
具体的にイメージできる力が養われます。

そして描かれたばかりの状態を想定して描く
<復元模写>や、それと現状との
<中間の状態を想定しての模写>も可能となります。
また当時の材料に関しての文献による勉強も必須で、
科学的知識も必要です。

    ● 現代のラピスラズリの原石
 
● 現代の天然ラピスラズリの岩絵の具
ラピスラズリ混入岩絵の具
(注1)古画においては使用されている絵の具の種類は現代と比べて限られていて、
現在入手可能な天然素材の絵の具でそのほとんどをまかなえる。
しかし例外もあり、例えば、敦煌莫高窟の壁画等でよく見られる印象的な群青色
(濃い青色)は、微粒子のラピスラズリが使用されているが、現代ではラピスラズリは
高価な貴重品であり岩絵の具としてはほとんど生産されていない。

また参考までに、現代のラピスラズリを敦煌莫高窟の壁画と同程度の細かさに砕くと濃い色調を
得ることは出来ず淡くなってしまう。
このような場合は他の絵の具を調色して代用しなければならない。

(注2)古画に共通してみられる<古い>色調や雰囲気。
経年による変色、絵の具の酸化による変色。
また、置かれている社寺の護摩の油煙(煤)の影響を受けての変色など。