古書画の修復・補彩日本画・掛け軸・書跡などの美術品の修復。

 ■ 復元補彩の例ー1
   
補彩前↑
補彩後↓
  
● 室町時代の仏画
  ※ 色調の違いは写真撮影時の光線の違いによるものです。

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  ■ 復元補彩の例ー2

 
補彩後 ← 補彩前
欠損部にのみ慎重に補彩する。
 オリジナルの部分には絶対に絵の具が被らないように注意する。
 少しずつ小さな剥落を補彩していくだけで、欠損していなかったかのようになる。

 
復元後 ← 復元前
● 衣の復元の手順
1 絵の具の剥落後の画面に残っている模様の痕跡と、剥落前に撮影された写真に基づいて
  元々の衣の模様や髪の形を薄紙にトレースして描き起こす。
2 欠損前の写真と現物の色を丹念に観察して紙に着彩した衣の絵を作成。
3 それと実際の画面に残存している模様の痕跡を元に衣を復元補彩する。
 注1) 衣の地色があり、そこに模様がのっていて、という絵の具の構造も現物に準ずる
 注2)剥落前の写真資料と現物に残る絵の痕跡だけを元にする。
   絶対に勝手に創り込んではいけない。

※ 以前所属していた工房で数えきれない程沢山の古い絵画や書跡の補彩修復を手掛けてきましたが、
それらの修復前後の写真が手元にありませんので、ここに紹介できないのが残念です。
  

模写・レプリカ(複製)制作
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模写・複製
古くなって痛んでしまった大切な絵画作品は修復の上これ以上痛まないように大切に保管し、
代わりに複製を飾っておきたい、などの場合にも。
また、名品のレプリカ(複製)の制作依頼もお受けしています。
印刷とはまったく違う、岩絵の具や金箔の物質感のある複製を制作します。

模写:風神図 ● 模写
 風神雷神図のうち風神図
         (俵屋宗達)
          原寸大で制作








※ 画像をクリックで拡大

模写:鳥獣戯画 ● 模写
 鳥獣戯画絵巻 甲巻
     (部分)







模写:大和絵
● 模写:大和絵
模写:宋人画● 模写:宋人画

 ● 模写
 一字金輪像(東京国立博物館)

 古色を帯びた現状の雰囲気に魅力を感じ
 『現状模写』として制作。
 
            原寸大で制作










 ● 模写
 一字金輪像(部分拡大)
          (東京国立博物館)
 『現状模写』としての制作では
 絵の具や画面の欠損も観察表現する。
 まず地色があり、その上に粒子が細かく
 淡色の絵の具を塗り、次に粒子が大きく
 濃い色の絵の具を塗り、さらに古色を
 帯びて、という構造も現物に準ずる。

模写:阿弥陀聖衆来迎図 ● 模写
 高野山阿弥陀聖衆来迎図
       (部分)観音菩薩

           原寸大で制作












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補彩修復について
 ● 参考
 国宝・重文および
 それに準ずるクラスの仏画の
 補彩修復例

普賢菩薩像:フーリア美術館(米) 蔵
 普賢菩薩像
      (フーリア美術館蔵)
 ● 中間色での単色補彩の例

青不動(青蓮院)部分
 青不動(青蓮院)部分
 ● 欠損各部位に合わせた
   色調での補彩例


 阿弥陀三尊・持幡童子 部分
 ● 中間色での単色補彩の例
● 補彩修復の基本的な考え方

補彩において一番重要な点は、どこまでの範囲で作業を進めるかということです。
一般に、国宝・重文のような後世に伝えるべき作品の場合はオリジナルの部分を尊重し絵の具の剥落、画面の欠損等も現状の様子を伝えるため、基本的に画面全体と調和のとれる中間色を用いての単色補彩を施します。

あるいは画面の各部位に合わせた色調で補彩します。
いずれの場合も、絵の具の厚みはもたせず薄塗りで仕上げます。

『可逆性』のあることが重要で、年月が経過して次の修復の時など必要な時に修復前の状態に戻せる方法で修復を行うのが基本です。
オリジナルの部分に補彩・補筆の絵の具が被らないように、欠損部にのみ補彩します。

また、国宝・重文以外の場合、所有者の意向により復元していく方向性をとることもあり、この場合はオリジナルと同素材の絵の具・色調を用い、絵の具の厚みもオリジナルと同様にします。
仕上がりは欠損部がどこであったのか判別出来なくなるぐらいにすることも可能です。

単色補彩と復元補彩の両方の方法をとることもあり、
この範囲内でそれぞれの絵画にふさわしい方法を採用することが肝要です。


● 補彩修復において大切なこと

日本画の専門的な勉強をされていない職人の手によって粗悪に修復された絵画を見る機会が何度もありました。その多くがオリジナルの絵で使用されているのとは違う種類の安価な絵の具を、色合わせもきちんとできていないまま雑に塗られてありました。

ひどいものになると膠で溶く日本画の絵の具ではなく、アクリル樹脂を主成分とした洋画材の絵の具(アクリル絵の具)を使用していました。
そしてこれはめずらしいことではないのです。

オリジナルの絵の具と同素材の絵の具を使用することは必須です。

例えば、天然の緑青や群青の岩絵の具などは経年により酸化して黒っぽく落ち着いた色調に変色していくのですが、近年の化学染料を使用した安価な水干絵の具や人工岩絵の具で補彩・補筆すると、修復したての時は馴染んでいたとしても、後年その部分だけが変色せず鮮やかなまま浮いて見えることになります。

修復に使用する絵の具を選択するにはそのような点からもオリジナルの絵の具と
同質のものを選ぶことが肝要です。




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